大阪の串カツにはサラサラのウスターソース、エビフライにはタルタルソース、とんかつにはとろみがあるとんかつソース、唐揚げにはレモンや塩コショウなど、食べ物ごとに定番の食べ方があります。
しかし考えてみれば、揚げ物の多くには下味も付けてあって、素材の味もしっかりあるのに、なぜ何かをかけるのか？ という疑問も湧いてきます。そこでこのコラムではメジャーな揚げ物とそれにかける定番ソースについて語っていきます。
１・大阪の串カツはお店によって異なる？
1-1・大阪の串カツのソースはどんなもの？
「二度漬け禁止」で有名な大阪の串カツ、お店が多いこともあって、ソースは一つに統一されたものではありません。独自のこだわり自家製ソースを持つ店もあれば、市販のソースをそのまま使っている店もあり、さらに市販のソースにしょうゆやスパイスを配合したり、何種類かのソースをブレンドしたりといった店もあるようです。あえて共通性を上げるとすれば「ウスターソース」をベースにした店が多いという点でしょう。
1-2・ウスターソースとは
「ウスターソース」はイギリスのウスターシャー地方で生まれたソースで、果物や野菜、香辛料を熟成させたものです。
日本農林規格（JAS規格）では、粘度（とろみの度合い）を定義づけることで「中濃ソース」などと区別しています。東日本よりも西日本で消費が多く、串カツなどの揚げ物をはじめ、さまざまな料理にかけられています。
２・エビフライにはタルタルソースが主流？
2-1・エビフライといえばタルタルソース！
「エビフライ」と言えば、「唐揚げ」や「とんかつ」と並ぶ揚げ物界の「ひとつの頂点」とも言える存在です。体部分の殻が除去されていることは多いものの、頭も含めて生前の姿をほとんどそのまま揚げている、という一点において、揚げ物の中でもひときわ異彩を放っています。そのエビフライに合うものと言えばやはり「タルタルソース」でしょう。
2018年にJタウン研究所というところが行った調査では、「エビフライにどんな調味料をかけるか？」という質問に、圧倒的多数で「タルタルソース」という回答が行われています。比率としてタルタルソースは46.8％、2位の中濃ソースが12.1％で3位のウスターソースが12.0％ですから、タルタルソースの人気に及ぶものはないという結果が出ています。
2-2・タルタルソースとは？
「タルタル」という名称はアジアの遊牧民タタール族から付いたと言われています（諸説あります）。タルタルソースは、卵黄、酢、塩、サラダ油を混ぜたものに（いわゆるマヨネーズ）、さらにみじん切りにした、たまねぎ、パセリ、ピクルス、ゆで卵、ケッパー（ヨーロッパの香味野菜）などを混ぜ込んだものです。
19世紀には既にヨーロッパで作られていましたが、細かい発祥はあまり解明されていません。
日本ではカキフライにもよく使われますし、肉料理とも相性がいいソースです。
３・唐揚げにかけるのは？ レモン、塩コショウ、そして意外とマヨネーズ？
揚げ物のランキングを行えば必ず上位に入る「唐揚げ」ですが、かけるものとなるとそれほど固定的ではないようです。
2016年に行われた「唐揚げに何をかけるか」という調査では、1位がレモンで2355票、2位が何もかけない2284票、3位マヨネーズ1880票、4位が塩コショウ1076票、5位がタルタルソース1031票となっています。
1位と2位は票数にあまり開きはないので、かけるとすればレモンが多いですが、かけない人も同数程度いるのでレモンが多数派というわけではない、と分析できます。3位がマヨネーズというのも意外ですが、塩コショウが4位でマヨネーズ派の6割にも満たないというのも驚きです。
４・とんかつには濃厚で粘度が高い「とんかつソース」
とんかつといえば、ウスターソースのようにサラサラではなく、とろみのある濃厚なソースでいただくのが一般的ですね。JAS規格（日本農林規格）では「とんかつソース」は「ウスターソース類」の中のひとつとして分類されています。
そもそも「ウスターソース類」は野菜や果実由来の煮汁やピューレーに、砂糖類、塩、酢、香辛料などを加えて調整したものとして定義されています。中には熟成・濃縮したり、でんぷんなどを加えたりしたものもあります。
そのなかでとんかつソースは、ウスターソースの10倍の粘度で定義されています。味付けとしてはスパイシーな部分は押さえて、甘みを出した商品が多い傾向があります。
とんかつを食べる時には、このとろみのあるソースに加えて辛子をピリリと効かせるのも特徴ですね。
５・ソースは好みのものを使うのが一番
揚げ物にはそれぞれに合うソースや調味料がある、という話をしてきましたが、味覚や食文化はそれぞれの人で違います。「唐揚げにはタルタルソースが合う」と思う人もいれば、「エビフライにはケチャップでしょ！」という主張をする人もいるでしょう。日本にはこれほど多くのソースがあるのですから、自分が好きなものを選んでかけるのが一番おいしい食べ方と言えますね。
「串揚げ 朔屋」では自家製のポン酢、自家製タルタルソース、オリジナルブレンドソース、岩塩、田楽みそなどお客さまのお好みのものをつけて串揚げを楽しんでいただいています。一つの食材でもかけるものによって味わいが変わりますから、ご自分の舌に合う組み合わせを探してください。
