美味しい串揚げの歴史について

 

肉や野菜、魚介を串にさして、パン粉をつけて揚げる「串揚げ」、嫌いな人はいないと言ってもいい人気メニューですね。アツアツの衣とサクッとした歯ごたえ、ジューシーな食材、考えただけでよだれが出る人も多いでしょう。

ここでは多くの人に愛されている串揚げの雑学・裏話を紹介します。サクッと揚がった串揚げを食べ、美味しいお酒を飲みながら、今夜使える楽しい話が満載です。

1・関西の「串カツ」と関東の「串揚げ」はどう違う?

「串揚げ」について語る時、必ず話に出てくるのが関西の「串カツ」です。「二度漬け禁止ルール」はあまりにも有名なので省略しますが、見た目に分かる違いとしてあげられるのが、大阪では一品だけを串に指していることが多いのに対して、関東では肉、ネギが交互に刺さっている姿がオーソドックスという点です。

そもそも関東では、豚肉と玉ねぎ(または白ネギ)しかなかったという説もあり、それこそ関東と関西の最大の違いと言って良いかもしれません。

2・串カツの「カツ」はフランス語から来ている

「カツ」と言えば、「串カツ」以外にも日本人に広く親しまれている「とんかつ」を思い浮かべる人が多いでしょう。

そのとんかつが日本で初めて売られたのは1929年(昭和4年)と言われています。宮内庁で西洋料理を担当していた人が東京・御徒町のお店で出したとされています。

この「カツ」という言葉は、さらにさかのぼることができます。現代の日本ではパン粉を付けて油であげる料理を「カツ」と言いますが、その語源はフランス料理のコートレット、フランスでは揚げ物ではなく炒め焼きする料理です。

コートレットと言ってもなじみは無いでしょうが、私たちが知っている言葉ではカツレツのことです。コートレットは1860年に福沢諭吉が既に文章に書き記していますから、とんかつが登場するより70年ほど前には既に日本に伝来していたことになります。

日本食の代表ともいえる「とんかつ」や、大阪の庶民の味である「串カツ」が、フランス由来の言葉から来ている、というのは何とも面白い話ですね。

3・串カツに付け合せるキャベツがざく切りなのには意味がある?

大阪の串カツにはざく切りのキャベツが付いているのが定番です。このキャベツはなぜ、千切りでなくざく切りなのか? 千切りより楽だから? それもあるかもしれませんが、ざく切りのキャベツには重要な役割があります。

それは大阪では「常識」とも言われる「ソースの二度漬け禁止」に関連しています。複数の客で共有するソースは衛生的な理由で二度漬けが固く禁止されています。それはよくわかるルールではありますが、それでも「やっぱり、もうちょっとソースをつけたい」と思うことってありますよね。そんな時活躍するのがざく切りのキャベツです。このキャベツをスプーン代りにしてソースをすくえば、二度漬けもせず、美味しく食べられるという訳です。

4・熱した肉はなぜ美味しい?

串を使った料理で串揚げに似ている焼鳥、これは名前の通り「焼く」ことで素材を美味しくしています。焼く料理の美味しさは、以下の三つの要素を持っています。
・カラメル化
表面が焦げない程度にブラウンになった肉は、とても良い香りがします。これは煮たり蒸したりする料理では表現できない美味しさです。また、美味しい焼き色は見た目にも食欲をそそります。

・油と脂のハーモニー
フライパンなどで肉を焼くとき油を敷きますが、それが高温になって肉の脂と混ざる時、とても豊かな香りになります。

・美味しさ物質:メラノイジンを引き出す
糖分+タンパク質、またはアミノ酸+糖分を加熱して150℃の温度を超えると、メラノイジンという食欲をそそる香りを出す物質が出ます。

では、揚げる料理はどんな意味を持つのでしょうか。

・揚げる料理は油の香りをプラスできる
揚げものをするとき、どんな油を使うかで味がさまざまに変わります。小麦粉やパン粉をつけて揚げる料理に向いているのはラードです。ラードは高温で温められた状態から、食事をするときの50℃前後になる時にパン粉と馴染んでふわっとした食感を出してくれます。また、冷めてもしっとりとした感覚を適度に残してくれるので、ゆったり食事を楽しむことができるのです。

・揚げ物は無駄な水分を飛ばして肉を美味しくしてくれる
焼く料理も食材の水分を飛ばして食材の美味しさを引き出します。高温の油で一気に食材を包み揚げる調理は、さらに瞬間的に食材の水分を大量に蒸発させるので、軽くてサクッとした味わいを出してくれるのです。

5・串揚げは無限のバリエーションを持っています

串カツやとんかつなどいろいろな料理にまつわる話をしてきましたが、「串揚げ」という料理に厳密なルールはありません。簡単に言えば、串に指して美味しく上げればそれが「串揚げ」です。そんな意味では食材、衣の種類、油の種類など、組み合わせは無数にありますから、串揚げは無限のバリエーションを持っていると言えます。

福岡県春日市上白水にある「串揚げ 朔屋」は、旬の食材を美味しく串揚げにしてお出ししています。出来るだけ土地の食材を活かし、串揚げの命である油と衣にもこだわりをもって、全ての品に満足いただけるよう、精魂込めて揚げています。美味しいお酒とともに、ぜひ朔屋の串揚げをご賞味ください。

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